【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「奏、ありがとう」
「え?何が?」
「奏の想いは受け取ったよ」
先程駿くんから手渡された手紙の続きを思い出していた。 そんな私を横で奏は不思議そうな顔で見つめる。
「でも私はやっぱり奏と幸せになりたいと思うよ」
手紙の最後は、幸せになってくれで結ばれていた。
私の言葉に足を止めた奏は、こちらに向き直ってゆっくりと私の体を抱きしめる。
少しだけ冷たい体。何よりも安心できる居場所だった。過去も、今も――。
「俺も…。つか俺笑真に言わなきゃいけない事があってさ」
「言わなきゃいけない事?」
抱きしめた体をゆっくりと離して、奏は何かを言いずらそうに口を開く。