【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

少しだけ照れくさそうに笑った奏は、その場で自分の左手の薬指を見せて「お揃い」と笑った。
奏は笑ったけれど、私はその場で泣き出してしまった。

「俺と結婚してください」

「雨の中のプロポーズかよ…ひっく…」

「それはやっぱりジューンブライドだし?
で、返事は?」

そんなの、勿論決まっている。

雨音が静かに聴こえる。それはまるで二人を祝福してくれているかのように透き通った音だ。

涙を流したまま奏へと左手を見せると、二つの指輪は雨に濡れきらきらと光った。

「勿論。私と結婚してください。
こんな私の面倒を見れるのなんて、奏しかいないんだから。」

大好きだった笑い声を上げて、再び私の体を引き寄せると、奏は優しいキスを唇へ落とした。

6月の雨は降り止む事を知らずに、すれ違いだらけの世界で私達をいつだって繋げてくれる。
だから雨は嫌いになれない。


今日あなたとの結婚を決めた。

陰りのない幸せの中で、あなたの温度、匂い、声を聞いて
私はゆっくりと目を閉じた。


完結


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