【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

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「こずってレジの操作覚えるの早いね」

「え?そう?」

「うん。パートさんに教えるのが私の仕事だけど、こずみたいに1回言ったらすんなり覚えてくれるパートさんはすごく楽」

「えへへ~」

10時過ぎに出勤して今日もこずの教育係。な訳で暫くはこずと出勤時間が同じようにシフトは組まれている。だから嫌でも会ってしまう訳なんだけど。

学生時代から頭は良い方で、良い会社に就職した。社会人経験が余りないとはいえ、彼女はとてもスムーズに仕事を覚えてくれた。

皆が皆こういうパートさんだったら楽なんだけど、な…。


大型ショッピングモールだから、それなりに社員の数はいる。フロアは広め。けれど社員は数人で、圧倒的にパートの人数が多い。女性ばかりの職場で、私より年上のパートの人達。

女が3人居れば派閥が出来る、と言われるように人間関係は様ざま。気が合う人も居れば合わない人も勿論居る。

学生時代には友人同士の悪口があるのが当たり前だった。けれど何歳になっても女は女。そういう人間関係のもつれは何歳になっても無くならない物だと就職して痛感した。

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