【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
大体の愚痴や文句は社員である私へやってくる。私が悪役になって周りの人間関係が円滑に進めばそれはそれで結構なのだけど、そう物事は上手く進みはしない。
「ちょっと~!望月さん聞いてよ~。何で田中さんってあんなに偉そうなの?ムカつくんですけど」
「あはは、田中さんはパート歴が長いからね」
「けれど、あれじゃあ望月さんと田中さんのどっちが社員か分かったもんじゃないですよッ。何でも仕切りたがるんだから~…
パートの皆の中で評判良くないですよぉ?」
田中さんというパートさんは私が社員になる前からここに勤める50代のおば様だ。
フロアの事を知り尽くしていて、仕事はよく出来る。 私も私で信頼の置ける田中さんに仕事を任せてしまう事もあり、他のパートさんからはそれが贔屓に見える所もあるらしい。
本当に、女ってのは何歳になっても面倒臭い。
その日はこずにお客様の接客や、品出し等の基本的な仕事を教えて同じ時間に休憩だ。
仕方がない。こずの教育係は社員である私の仕事で、彼女がある程度仕事を覚えるまでは、基本的に私がつきっきりだ。
けれど彼女と居るとどうしても過去の自分を思い出す事になってしまうのだ。今朝だって、あの頃紅茶派だったのを思い出したのは、きっとこずと再会してしまったせいなんだ。