【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「人それぞれだと思いますけど、私は結婚ってすごくいいものだと思います。
子供はやっぱり可愛いし、家族が居るってだけで心強い物がありますよね」
「だよねぇー。このままじゃあ孤独死しちゃうんじゃないかって最近思う…。
笑真ももうすぐだもんねぇ。はぁー…婚活サイトにでも登録しようかなぁ」
美鈴ちゃんの言葉に箸はぴたりと止まる。え?と言うこずの言葉と共に視線が突き刺さるのが分かる。それでも横を向く事は出来なかった。
「えー?笑真ちゃん結婚するのぉ?」
「へ?笑真言ってなかったの?」
横を向いてこずへと笑顔を向ける。ひくひくと笑顔が引きつるのが分かってしまって、今自分が上手く笑えているのかさえ分からない。
目を大きく見開いて、驚いた顔を向ける彼女の視線はキラキラと輝いていた。
「自分から、言うものではないかなーって思って…」
「笑真って案外照れ屋だからねぇ。でもね、梢ちゃん笑真の婚約者っつーのが凄い人なのよ、これがまた。
あ、梢ちゃんと笑真は地元が一緒だから知ってるかぁー。高瀬コーポレーションっていう大きな会社の跡取り息子なのよねぇ」