【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「な…に?酔っぱらってるの?」
「んー?何となく?笑真を抱きしめたくなった」
「もう…お酒臭いですぅ!」
「本当に笑真と一緒に居る時間が1番落ち着く。四六時中笑真と一緒に居られたらいいのに」
「そんな事言う駿くん、変なの。やっぱり酔っぱらってる。今お水用意するからねッ」
パンドラの箱は、やはり開くべきではなかったのだ。 そこには希望など何ひとつ残っておらず、あるのはどこまでも続く絶望だけ。
あなたの顔は思い出さない方が良かった――。
それなのに人は何故、過ちばかり犯すのだろう。
開けてはならないと言われている物を、どうして容易く開けてしまうのだろう。
’ずっと日本には帰ってきていなかったけれど、半年前に奏の姿を見たって友達も居て’
ねぇ、あなたは今どこに居るの?同じ国で、どこの街で生きているの? あんなに一緒に居るといってくれたのに、私を裏切ってさよならも言わずに消えてしまった人。
誰もを笑顔にするあの豪快な笑顔を誰に見せているの?
私じゃない誰かを愛しているの?
私は今、あなたではない人からこんなにも愛されている。
あなたではない人を見つめている。
正しい幸せに包まれている。