【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
03 あなたじゃない人の笑い声。
03 あなたじゃない人の笑い声。
久しぶりに土曜日にお休みが取れた。
ショッピングモールは土日が1番の稼ぎ時。パートの主婦たちは皆土日の休みを欲しがるので、社員である私の休みはほぼ平日だ。
駿くんは土日休みの職種であるので、休みが被る事は滅多にない。 同棲を始めてからも初めての同じ休日だったのではないだろうか?
会社勤めの人と休みが合わない所は、サービス業の悲しい所か。
休日であってもきちんと朝早く起きて、自分のルーティンを曲げない。駿くんはちゃんとした人だと思う。そこは尊敬している所のひとつでもある。
昔の私はこうやって毎日のルーティンを決めて動くような人間ではなかった。気分でその日の動きを決めるタイプだった。そこは駿くんと付き合った3年で変わった事でもあった。
それでも休日。
私の用意した朝ご飯を食べて、いつもよりゆっくりと珈琲を飲む駿くんは新聞を広げて椅子に腰をおろす。
「映画でも見に行こうか」
仕事の日は手抜きになりがちなキッチンの掃除を念入りにしていると、駿くんは言った。
「映画?いいね。何か面白そうなの公開されてる?」
「この間話した映画の続編が公開されているっていうから見たいなぁーと思ってたんだけど、どう?」