【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「可愛いお店だねぇー、駿くんってどうしてこんなに可愛いお店知ってるのかなー?」
これは本当に不思議なんだけど、駿くんは女の子の喜びそうな様々なお店を知っている。
可愛らしいカフェから、大人っぽいレストランまで。
「ここはこの間営業で近くに来て、笑真が好きそうだなぁってネットで調べたんだ。
笑真、ハンバーグ好きだろう?ほら、チーズが乗ってる奴あるぞ」
「本当だッ。でも海老フライも美味しそうだし、迷うなぁー……」
メニュー表と睨めっこをして迷っている姿を、駿くんは優しい顔をしながら見つめていた。
そしてこんな提案をしたのだ。
「じゃあ俺が海老フライを頼むから、笑真はチーズハンバーグな?
そうしたらどっちも食べれるから」
「いいの?」
「いいよ。勿論」
こうやって私が何を頼むか迷っていると、駿くんは必ず私が迷っていた方を頼む。
そうしたら笑真の食べたい物どっちも食べられるから、って言って。 そんな優しさを持っている人だ。
このお店は当たりだった。駿くんもそう言っていた。そして私達が入って数分で小さな店内は満卓になる。人気の洋食店だった。お昼少し前に入って正解だった、と駿くんは満足そうに笑った。
ハンバーグも海老フライもどっちも美味しかった。
美味しそうにそれを口に運ぶ私を見て、駿くんは満足気に小さく笑った。