【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
160センチと175センチの身長差は、高校の時から一切変わらないようだ。並んでなんら違和感がない。
あの頃私は、カップルの理想的な身長差は15センチなんだってとよく騒いでいたもんだ。 そして隣に並んだ奏は、ニヤリと口角を上げて不敵な笑みを浮かべる。
「どうやら、時間は出来たようだな?」
「ちょ…それとこれとは。」
「1階にカフェ入ってたよな?俺そこで待ってるね。出来るだけ早く来いよ?!」
それだけ言い残すと、笑いながら走り出した。
「ちょっと待ってよ…」
相変わらず。相変わらずだ。人の話は最後まで聞いてくれなくって、強引に何もかも自分の都合で動いちゃうんだ。
どうしろって言うのよ。
このまま約束なんてスルーしちゃう?だって私はOKを出した訳ではない。そんなのは、約束じゃない。罪にもならないはず。
だって今更奏と話す事もないし、呑気にお茶をしている場合でもない。…それに駿くんが知らない所で私が奏と会ったりなんてしたら、彼はどう思うだろうか…。
大型ショッピングモールには、様々なテナントが入っていて、飲食店も豊富だ。
誰もが知っているチェーン店から、レストラン街。カフェまで様々だった。