【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
その顔はワクワクしている子供のようで、あの頃と全然変わらなかった。
夢を持っている事。
普通の会社員じゃなくって、昔から自分で会社を立ち上げて新しい物を造りたいって。あの頃も変わらずにキラキラとした瞳で言っていた。
「え?このゲーム有名じゃん。今話題になっている」
「そうそう。俺すっげぇだろ?それにしてもよく知ってるね。笑真昔からゲーム好きだったもんなー…」
「奏の影響でね。でも今は全然やってないよ…」
あの頃は、奏と一緒に色々なゲームをした。
ゲーム機もソフトも買って、朝から晩まで飽きずもせずによくもしたものだ。
駿くんはそんな子供染みた事はしない。
「それにしても笑真は変わったな」
「え?」
その言葉に顔を上げる。目の前で笑っている奏も確かに少し見た目は変わった。けれど、全然変わらない所もある。
「あの頃は髪もショートだったし、もっと派手な格好をしてた。」
「そりゃあ…7年もあれば人も変わるよ…。私だってあの頃のように子供じゃない…」
雨脚は強くなるばかり。灰色のアスファルトを真っ黒に塗りつぶしていく。
そんな風に人の心や想いさえ変わって行くものなのだ。 私はそれで良いと思っている。当然だと。
苺のフラペチーノは甘さの中に酸っぱさがあった。それを一気に飲み干して、立ち上がる。