【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

「いいじゃん。笑真は笑真で良い所が沢山あるんだから、誰かと自分を比べるのなんて馬鹿らしいじゃんかね?」

そう言って、今日も駿くんは正しい言葉をくれる。

他人と自分を比べるのは、自分が劣っているという意識があるからだ。きっとこんな考え方が出来る駿くんに、劣等感という感情は存在しないんだろう。

肩をぐいっと自分の方へ向けると、こつんと額をぶつけて穏やかに微笑んだ。

「でも綺麗かぁー…」

「そんなに気になるなら今度一緒に言ってみる?笑真の大好きなパフェもあったよ?」

「もぉー子供扱いして。
駿くんはどこにいったってモテるんだから、心配だってしちゃう時はあるよ」

その言葉に不思議そうに眼を丸くする。

「珍しいね、笑真がヤキモチ妬くなんてさ」

「別にヤキモチじゃないけれど…」

「ヤキモチじゃないんかい。それもそれで悲しいけれどさー…。笑真は基本的にさっぱりしてる性格だから元々ヤキモチ妬きじゃないもんな」

駿くんの言葉に曖昧に笑う。すると彼は私を抱き寄せて、強く抱きしめる。

彼の腕の中で考えていた事は、最低な事だった。

胃がむかむかする。それは多分喫茶店の店主が若くて綺麗な事ではなくって、もっと違う場所にある。


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