【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

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安田奏は地元でもとても有名な人だった。

そんな彼と初めて一緒になったのは、高校の時だった。小学校や中学校は学区内のせいで違った。

それでも彼が有名だった要因のひとつは、あの高瀬駿の弟である事だった。ふたりが兄弟なのは、有名な話で苗字が違うのも親が離婚したのも隠したりはしていなかった。

兄弟だったふたりは幼い頃に親が離婚して、それぞれに引き取られたせいで小学校と中学校は分かれた。それでもふたりの関係は悪くなくって、姓は違えどとても仲良しの兄弟だったのだ。

地元では兄派、弟派でちょっとした派閥もあったほど、人気のある兄弟だった。

そして高校で初めて出会った安田奏は、頭は良いけれど素行は悪い。ヤンキーの先輩たちに目がつけられそうなのに飄々としていて何故か可愛がられ、けれど誰も居ない図書館でひとりきり本を読んだりするような変わった生徒であった。

いっつも男女問わず仲間に囲まれていて、中心で太陽のように笑っているような人。学校で1番目立つ人だった。

とびっきり明るい金髪に両耳はピアスだらけで、制服を着崩して遅刻してきたり学校をさぼったり、それでも成績は学年でいつも上位に入っていた。

女性関係も奔放で1年生の時は3年生の1番綺麗な先輩と付き合ってたり、他校に彼女がいたり何かと話題の尽きない人ではあった。

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