【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
『あはははは~俺ってどんなイメージだよ~』
『あんまりダークな世界観が好きじゃない人、かな?』
同じ学校で2年間過ごしていても、話をするのはその時が初めてだった。そもそも一緒のクラスになった事もないし、接点なんてひとつもなかった。
だからこの時彼が私に気づいてくれたのも、名前を知っていた事も意外だった。
そして初めて話をしたのにも関わらずすんなりと彼が私の中に入ってきたことも驚きだった。
自分の好きを誰かと共有する事。
それはとても不思議で、そして世界が少し広がって行く感じがした。
それから私達は学校でちょくちょく話をするようになり、連絡先を交換して、一緒にライブに行ったりもする仲になった。
仲良くなってからは驚く事ばかりだった。好きな音楽。好きなブランド。好きな食べ物。流行りの物が好きな所、流行には目がなくって、けれど人が余り知らないマイナーな物も好きで。考え方。答えの出ない哲学的な事を考えるのが好きな所。色々な所がちょっとずつよく似ていた。
私は学校で特別に目立つ存在でもなかったし、容姿だって普通。人より秀でているものもなかったし、普通の人間関係の中で普通に生きて来た。
だから奏と仲良くなって周囲には驚かれたし、羨ましがられたりもした。関わって見て初めて知る事もあった。