【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました

ちゃらそうに見えて意外に真面目な所。付き合った彼女とはいつも真剣になっていた所。でも少しだけ誘惑に弱い。絶世の美女よりも少し癖のある女性が好きで、好みのタイプの芸能人は結構マイナーで周囲からは変わり者だと言われるそうだ。

話す前はどこか雲の上の存在。あの有名でモテモテだった高瀬駿の弟って言うだけでもすごいのに

仲良くなった彼は意外にも親しみやすい。いつもスクールカースト上位の人間とつるんでいたけれど、人を差別したり上や下に見たりは一切しない。

笑い声が特徴的で、そして太陽みたいに明るいのに、どこか陰があった。


私はそんな奏の二面性に惹かれ始めていた。

そうやって仲良くなってから数か月後、突然私は奏に告白されたのである。そして直ぐに付き合いだした。

付き合って直ぐに奏の明るさに隠された陰に気が付いた。それは彼が育ってきた環境に起因するものだったと思う。時たま彼の暗い部分に触れると、悲しい位守りたい気持ちにさせられた。


そして――――

駿くんを紹介してくれたのは、誰でもない奏自身だったのだ。

勿論、その頃は奏の彼女として。目を見張るくらい、あの頃は仲の良い兄弟のように思えた――。

< 75 / 263 >

この作品をシェア

pagetop