【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
しかし何故悪びれもなく毎日のように私の前へ現れれるってもんだ。
「大体あんたうちでネクタイ買う気ないでしょう?」
「あ、バレた?でもネクタイが必要なのは事実でさ。今度おかたぁーい商談が入ってるんだって」
「それならば百貨店の方に行きなさいよ。あんたの好きなブランドは百貨店にしか入ってないって」
「お、俺の好きなブランド分かってるね。さっすが~、笑真ちゃん」
頭が痛くなる。
けれどそんな事さえ覚えている自分にはほとほと呆れる。
きっと奏がネクタイを買うのであるのなら、こういった庶民的なショッピングモールに売っている物や、入っているメンズのテナントではなく
百貨店にしか入っていないフランスのあのブランドか、イギリスの超有名ブランドだろう。そして絶対に自分に似合う青系を選ぶ。
ビジネスシーンで使うにはもっと高級で上品なメーカーも沢山ある。
けれど奏は絶対に誰にでも分かりやすい超有名ブランドを好むのだ。その証拠に持っているバックも財布も全部そのブランドの物だった。…好みは昔から何も変わらない。
だってその分かりやすい程ブランドを主張する高級ブランドは、私の好きな物のひとつでもあるんだもの。