【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
冷たく突き放したつもりが、奏は何故かけらけらと笑いだす。こういう軽薄な雰囲気は全く持って変わっちゃいないんだから。
何となく笑ってれば許されるって思ってるんだから…。
「そういえば笑真に久しぶりに会って思い出したんだけど、カタノセリアが活動復帰するって知ってる?」
「え?!そうなの?」
「うん、つい先日ツイッターで発表されたみたいだよ。従来のファンがこぞって騒いでいた」
「マジで?!最近全然情報出ないからもう表舞台には出てこないと思ってた。」
「海外に居た時から日本の音楽はネットで調べてたんだ。
今は芹沢花音が俺の中でキてる。最近の日本の若手のシンガーでいったら頭一つ飛びぬけてるな」
「奏もそう思う?!私も芹沢花音が今1番好きなの。世間は西園寺愛歌ばかり注目しがちだけど、彼女の歌は心に染みるんだよね。
良い意味で無骨で、でも飾らなくって人の心に共感させる歌を歌うの」
「俺も断トツで西園寺より芹沢派だな。」
現在日本の音楽シーンを沸かせているふたりの歌姫。同じ有名プロデューサーにプロデュースをされている。世間では西園寺愛歌の方がまだ売れているが、私は断然芹沢花音派だった。
「でもね、駿くんは西園寺愛歌のファンなんだよ。CDも全部持ってるし」
「へぇ、兄貴らしい」