【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
社会人になってもその仲は続いていくように思えた。けれどそんな麻子と疎遠になってしまったのは丁度3年前。
私と駿くんが付き合い始めた頃からだった。直接的な理由はない。けれど駿くんと付き合い始めたと麻子に報告をすると、彼女は複雑そうな顔をした。
疎遠になったのは、麻子とだけではなかった。自ら連絡を放棄した感じではあったけれど…。
地元で当時私と奏の仲は有名だった。その奏と別れて苗字は違えどその兄である駿くんと付き合うという事は、あることない事を噂される格好のネタだった。
世間一般から見れば、弟から兄に乗り換えた。と思われても仕方がない。私が他人だったらそう思うだろうし。だから何となく地元の友人たちとは距離を取ってしまっていた。
「何よ~最近どうしてんの?」
「別に普通だよ。麻子の方こそ忙しそうだったじゃん」
「つーか聞いてよッ。上司の人使いが荒くってさ。
仕事は使えない奴ばかりだし、毎日苛々してたら新入社員に、更年期ですか?とか訊かれちゃって。
最近の若い奴マジでムカつくー。ってこんな事言ってたらいつの間にか私もアラサーかぁとかへこんじゃって」