【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
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『俺望月の事が好きなんだけど、付き合って欲しい。』
ライブで偶然会ってから数か月。寒い冬の日の出来事だった。
その日も偶然奏と下校時間が一緒になって、私達は偶然が多いねっていつ通りの会話をしながら一緒に帰っていた。
突然の告白に戸惑った。
まさか奏から告白されるとは夢にも思っていなかったから。どこに行っても人気者の彼の周りには、私より魅力的な女性が沢山いたし、特定の彼女が居ない時の奏は女の噂が絶えなかった。
『何かの罰ゲーム?』
惚けた事を言ってしまったものだ。
話すようになって数か月。私の中で彼の存在がどんどん大きくなっていくのを感じていた。
好きな物や考えている事が似ている。一緒に居ると楽しくて時間が過ぎていくのがあっという間で、それを恋だと認識するのに時間はかからなかった。
『お前失礼な。俺が罰ゲームで告白とかする男だと思ってんの?』
『それは、思ってないけれど…』
仲良くなる前は、どこかちゃらくって女心を弄ぶタイプだと思っていた。
自分とはどこか違う世界に居るタイプのやんちゃな男の子。見た目も性格も。
だからまさか自分の前にこんな幸福が訪れるとは夢にも思っていなかった。好きになった男の子から、告白をされる。今でもあの日の幸せな気持ちは忘れた事はない。