【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
目立つ奏と付き合う事でやっかみも増えた。
直ぐに別れるよ。と陰口も叩かれたけれど、周りの意に反して私達は上手くやっていた。
子供っぽい悪戯をして私を怒らせて、謝る時だけはやたら真剣で、嫌な所も沢山あったけれどそれ以上に奏の事が好きだった。
好きで、好きで、好きで、堪らなかった。
共に過ごす時間で、知らない顔を知っていく度に、好きになる。
昨日より、今日、今日よりも明日。もっと好きになっていく。
自分以外の他人をこんなに好きになったのは、産まれて初めてだった。 時が過ぎてもこの気持ちは変わらない。今にしてみれば、子供だったのだと思う。
この世に、変わらない気持ちはない。
高校3年の夏。付き合い始めて半年。私達は初めて結ばれた。 その時に奏は言ったのだ。
『笑真、結婚しような。ずっと俺の側にいてな』
その言葉を子供ながらに信じていた。真剣だった。
こんなに人を好きになる気持ちを教えてくれたのは、あなた。
そして、この世に変わらない気持ちはない、と教えてくれたのも、奇しくも誰でもないあなただった。
―――――