【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
「私はてっきり、あんたは安田と結婚するとばかり思ってたけどね…」
「そんな昔の事…。」
「別に高瀬駿が嫌いな訳じゃないわよ。高瀬駿みたいな男と結婚する女は幸せになる未来しか見えないしね。
でもさ、私はずっと安田と笑真の事を見守ってきたから。あんたがどれだけ安田の事が好きだったのかも知ってるし、安田がどれだけあんたを大切にしてたかも知ってる。
あんたたちあの頃喧嘩もいっぱいしてたけど、そりゃあ幸せそうで。私笑真とは小さい頃からずっと一緒だったけど、あんな幸せそうな顔は初めてみたし」
「止めてよ、麻子。あんなの子供だっただけだよ。大人になったら分かったよ。10代の頃は軽々しくずっと一緒にいようなんて口に出して、それが永遠だって思えちゃってただけなんだって」
「別に私は安田に良い印象はないからどうでもいいんだけど。
ねぇ、笑真。本当に安田には何か事情があったんじゃないかな?
私今でも疑問なんだけど、あの安田が笑真に直接何も言わずに別れるなんて……」
「止めてよッ」
思わず大きな声が出てしまった。
電話口の中から、麻子の口から小さなため息が漏れる。