【完】今日、あなたじゃない彼と結婚を決めました
『笑真って俺のソウルメイトだと思う』
あの頃よく奏が言ってくれた言葉。
魂の半分。
自分のように自分を理解してくれる人。離れたくっても、離れる事は出来ない。
その縁は切っても切れずに、どんなに時を超えても世代が違っても惹かれ合い結び合い、必ず成就するものだろう。
ただただ単純な話だ。私と奏はソウルメイトでも何でもなかった。だから私達の未来は続かずに、あの日途切れてしまっただけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
全然お腹なんか空いていないけれど、夕食を食べよう。何かをして気を紛らわせよう。そう思っても思っても、1分置きに時計の針を見つめていた自分が居た。
どうして心と体は別物だったのだろう。
いや、頭では分かっていた。 こんな判断は間違っている、と。それでも体が勝手に動き出してしまっていた。
ジーンズとトレーナを着て、適当にダウンを羽織り私は走り出してしまった。
その右手にはチケットがぎゅっと握られていた。 17時半の出来事だった。もう開場している時間だ。
タクシーを拾って、目指す場所はもう決まっていた。どうして、想いとはこんなに裏腹な行動ばかり取ってしまうのだ。
――あなたは、罪深い人。
私が必ず来ると分かっていたんでしょう?
だからそんな余裕の笑みを浮かべて、大きな瞳を瞬かせて
どうせ思ってもいない事を口に出す。