七色の魔法使い#2~失われた輝きをもう一度~
目を覚ますと、僕は館にある部屋の布団で横になっていた。
「……良かった……目、覚めた?」
僕の顔を覗き込んだ紫月は、安心したように笑う。
「……紫月……?」
僕が体を起こすと、紫月は「……冬くんが倒れてるのを見つけて……あ、僕は用事があるから向こうの世界に帰るね」と言って部屋を出て行った。
「……」
僕は立ち上がると、窓から外を眺める。輝一たちは、大丈夫なのかな?
「……冬都!」
声が聞こえた方を向くと、輝一が僕に抱きついてきた。
「良かった……」
僕から離れて目を合わせた輝一は、安心したように笑う。
「輝一……あの妖魔は?」
「俺らで倒した。冬都を狙った理由までは分からないけど……でも、冬都が無事で良かった!」
輝一の優しそうな笑顔に、僕は微笑んだ。
あれから数か月が経って、春休みがやって来た。僕は、スケッチブックを片手に輝一の暮らす町を歩く。
輝一と遊ぶ約束をしてて、僕は魔法で輝一の暮らす町まで来たんだ。
「……冬都!」
待ち合わせ場所である公園の入り口まで行くと、輝一は僕に向かって手を振る。
「こっちの世界で会うのは久しぶりだね。さて……俺の家まで行こうか」
そう言って、輝一は走り出した。僕は、輝一の後を追いかける。