アイツの溺愛には敵わない
教室を出た私たちは職員室へ。
時間が掛かるかも…と懸念していた先生の日誌チェックもあっさりと終了。
ホッと胸を撫で下ろしながら職員室を出ると、ドアの傍で待っていた高塚くんは驚いた様子で瞬きを繰り返した。
「もう終わったの?」
「先生、作業していて忙しいみたいでチェックもあっという間だったよ」
「そっか、良かったね!」
白い歯を見せて無邪気に笑う高塚くんに頷く。
私たちは昇降口に向かって歩き出した。
「今週も今日で終わりだね~」
「ようやく週末が来たって感じがする…」
「俺も!色んな教科で小テストがあったり課題も多めだったりで、ハードな一週間って感じだったよね」
「うん」
言われてみれば、月曜日から課題が大量に出されて家で苦戦してたな。
今日一日が長く感じたからか、週の始めの出来事が何ヵ月も前のことのように思えてしまう。
「琴宮さんって、休日はどんな風に過ごしてるの?」
「ショッピングに出掛けたりすることもあるけど、家でのんびりしてることの方が多いかな。高塚くんは?」
他愛ない会話をしながら下駄箱までやって来た私たち。
「俺は……」
高塚くんが話を始めようとした時だった。