アイツの溺愛には敵わない
「コイツは俺が家まで送るから」
「えっ、真浦が?でも、どうして……」
瞬きを繰り返して驚いている高塚くんに、颯己は鋭い視線を向けた。
「映結は俺のだから。入り込める隙は1ミリも無いってこと、覚えておいて?」
淡々と話す、その声は冷たくて。
どこか威圧的で。
呆然とする高塚くんを見つめたまま固まっていると、颯己は私の手を引いて歩き出した。
「ちょ、ちょっと!手、離してよ!」
「無理」
「離してってば!」
「出来ない」
返ってくるのは拒否の言葉ばかり。
上下左右に揺さぶって手を振りほどこうとしても、しっかりと握る颯己の力には敵わず。
結局、どうすることも出来ないまま帰宅。
家の中に入った途端、颯己はようやく私の手を離した。