アイツの溺愛には敵わない
「週明けは、女の子たちに私たちの関係について詮索されるかもしれないから、颯己もキッパリと否定してよね」
「……はーちゃんは勝手だね」
「そうだよ。私、自分勝手な人間だもん」
靴を脱いで足早に自分の部屋に入ろうとしたところで、颯己に腕を掴まれた。
「なっ、何よ」
「俺にだって気持ちや意思はあるから。何でもはーちゃんの思いどおりには動かないよ?」
鋭い視線を向けた瞬間、颯己の空いている方の手が私の頬に触れる。
「もう、これ以上抑えるのは限界」
呟くように口にしたかと思うと、あっという間に顔が近付いてきて…
唇が重なった。
私、今……キスされてる?
一瞬の出来事に目を見開いて固まっていると、温かな感触が唇から離れた。
「前に言ったよね?ストッパーが突然外れる日が来るかもしれないって」
至近距離で見つめる颯己の瞳に私が映る。
「俺を遠ざけようとしても無駄だよ」
「………」
「だって、俺……はーちゃんのことが好きだから。出会った時からずっと」