アイツの溺愛には敵わない

唇が、触れられていた頬が、燃えるように熱い。


心臓も、今まで聞いたことないぐらいの大きな音を立てて暴れている。


とてもじゃないけど落ち着きを取り戻せる状態じゃない。


キスだって、告白されたのだって、生まれて初めて。


しかも相手は、弟のように思っていた幼なじみの颯己なんだから。


さっきの光景を思い出しながら、そっと唇に触れた。


キスされたあの時。


本当に嫌だったら、持てる力を振り絞って突き飛ばすことだって出来たはずなのに、それをしなかった。


驚いたけど、嫌じゃなかった……。


前は、そんなわけないって心の中で即座に否定したけれど…


私、颯己のこと意識してるのかな…。


幼なじみじゃなく一人の男の子として。


そう思った瞬間、唇や頬の熱が全身に広がった。


これって、完全に肯定の反応だよ。


「……っ…」


大きく息を吐いた私は、両手を頬に押し当てた。


そっか…。


私、颯己のことが好きなんだ…。


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