アイツの溺愛には敵わない
今から一年ぐらい前。
当時…中学生だった私は、颯己と一緒に登下校をしていたし、学校でも普通にお喋りをしていた。
でも、ある日の放課後。
進路相談室に個人面談しに行った颯己の帰りを教室で待っていた時のこと。
『琴宮さん、ちょっといい?』
隣のクラスの女の子に呼び出された私。
移動を強いられ、生徒があまり利用することのない校舎の端の空き教室へ。
そこで待ってたのは、颯己のファンで有名な同学年の佐々野さんという美少女と取り巻きをしている女の子たち数人だった。
『アンタってさ、颯己くんと付き合ってんの?』
佐々野さんとは、今まで会話をしたことがなかったのに、いきなりアンタ呼び。
しかも、腕組みをしながらしかめっ面で私を睨んでいる状態で。
態度の悪さに、思わずムッとしてしまった。
『付き合ってないです』
素っ気ない声で答えた瞬間。
佐々野さんと取り巻きの女の子たちは、嫌悪感いっぱいの表情を浮かべた。