アイツの溺愛には敵わない
颯己にケガをさせてしまったあの日から今日まで。
冷たい態度や言葉でたくさん傷つけてきたのに。
なんで、そんなに優しいのよ…。
一粒、また一粒と涙が零れ落ちていく。
こんな私だけど、颯己が一緒にいて幸せだと感じてくれるのなら……。
ううん。
なによりも私が颯己の傍に居たい。
だって、颯己のことが好きだから。
「私で良ければ、よろしくお願いします」
声を震わせながら伝えると、すぐに颯己の胸の中に抱き寄せられた。
「ヤバい。最高に嬉しい」
言葉がダンスをしているかのような弾んだ声。
こんなにも嬉しそうな感じの話し方をする颯己は今までに見たことがない。
「本当に私でいい?」
胸元に埋めていた顔を上げると、颯己は私の頬の涙を指で拭った。
「うん。はーちゃんがいい」
満面の柔らかい笑顔。
少し潤んでいるように見える瞳。
ジッと見つめていると、瞬く間に颯己の顔が近づいてきて…
私の額に温かい唇が触れた。