アイツの溺愛には敵わない
7*『彼女』らしく、アイツの隣で
ピピッ、ピピッ……
鳴り響くスマホのアラームを解除する。
眠い目をこすりながら、部屋のカーテンを開けた。
今日から、また新しい一週間の始まりか。
でも先週までとは違って、なんだか新鮮な気持ち。
きっと、颯己との関係が大きく変わったからだろうな。
“彼女”になったんだよね、私。
窓ガラスに映る自分の顔がニヤケているのに気付いた私は、頬をギュッとつねった。
なんて締まりのない表情。
学校では、こんな緩んだ顔を見せるのは恥ずかしいから気を付けなくちゃ。
あっ、そうだ!
颯己を起こさないと…!
私は慌てて隣の部屋に向かった。
今までは別々に登校していたから、私が家を出る直前に颯己を起こしていたけれど…
今日からは一緒に登校。
ということで、私が起床したタイミングで颯己を起こすことになったのだ。
「颯己、入るよ」
いつもみたいに一声かけてから部屋の中へ。
颯己は布団を頭までスッポリと被った状態で眠っていた。