アイツの溺愛には敵わない
「ま、真浦くんごめんね。いきなり映結ちゃんと喋りだしちゃって。邪魔しちゃったよね」
「いや、そうじゃなくて……その…」
気まずそうに人差し指で頬を掻く颯己。
「あ、アンタが映結の友達で良かったと思ってただけ。別に今は邪魔だとか思ってない」
早口で喋り終えると、視線を別の方向に逸らしてしまった。
今の言動は一体…。
颯己が朝の挨拶以外で他の女の子と会話のキャッチボールしているところを見るのって霧島先輩以来なのでは?
でも、あの時は殆ど話を聞き流していたって言ってたっけ。
っていうか、会話もだけど表情!
決して愛想が良かったとは言えないけど、いつものような無表情じゃなかった。
どういう心境の変化?
きっと綾芽ちゃんも驚いただろうな。
そう思って視線を向けると、綾芽ちゃんは颯己を見ながらクスッと笑った。
「そっか。ありがとう」
あれ…?
ビックリしてるというよりも、なんだか嬉しそう。
不思議な違和感が胸を掠めた。