アイツの溺愛には敵わない
モヤモヤした気持ちを抱えながら時間が過ぎていき、迎えたお昼休み。
“二人で食べておいでよ!”と綾芽ちゃんに笑顔で送り出され、私と颯己は屋上にやって来た。
「誰もいないね」
「俺らの教室がある南校舎の屋上は昼休みに利用する人が多少いるらしいけど、こっちの特別教室がある北校舎は殆ど使われてないらしいよ」
「そうなんだ」
「ここなら静かだし、誰に邪魔されることもなく二人きりで過ごせるからいいじゃん」
「うん……」
今日は休み時間になると、他のクラスの女の子たちが私と颯己の様子を絶えず見に来る状態。
もしも教室で昼食をとったら、周りの視線が気になってご飯を食べた感じがしないだろうからなぁ。
静かな場所で食べられるのは嬉しいかも。
でも二人きりっていうのも、それはそれで心が落ち着かない気がする。
「はーちゃん、日当たりがいいからここで食べよ?」
「そうだね」
隣に腰を下ろすと、颯己は嬉しそうな笑みを浮かべながら、私の肩に頭をのせた。