アイツの溺愛には敵わない
太陽の温かい光が降り注ぐ中、穏やかな昼食タイム。
他愛ないお喋りを楽しんでいるうちに、私も颯己もあっという間に食べ終えてしまった。
「はーちゃんのお母さんの弁当、今日も美味しかったね」
「うん」
満腹感に浸っていた私の頭に、気になっていた今朝の光景が蘇った。
そうだ。
思いきって聞いてみようかな。
ずっと心の中にモヤモヤを燻らせるぐらいなら、明確な答えをもらってスッキリしたい。
「颯己」
「どうしたの?急に硬い顔になって」
「あのね、朝のことで聞きたいことがあるんだけど……」
「なに?」
「いつも女の子と殆ど会話をしない颯己が、綾芽ちゃんに自分から話をしていたのが気になっちゃって。な、何かあったの?」
“細かいこと気にするヤツだ”って、面倒くさい顔されちゃうかな。
反応を伺っていると、颯己は首の後ろに手をあてて苦笑した。