アイツの溺愛には敵わない
「やっぱり不自然だったか。はーちゃんには言わないつもりでいたのに、自分からボロを出すなんてね」
「何か深刻な悩みがある……とか?」
「そうじゃなくて、例の写真のことで碓井さんに協力してもらった」
「それって、もしかして金曜日に撮られたやつ?」
「うん。あの時、横目に女子たちの顔をチラッと見たから、碓井さんに外見の情報を伝えて、該当しそうな人を教えて欲しいって頼んだんだ」
いつの間に、そんなことを…。
そもそも、なぜ綾芽ちゃんに協力を?
しかも、連絡先はどうやって知ったんだろう。
「ちなみに碓井さんの連絡先は土曜日に俺の友達から聞いた。交友関係が広い碓井さんなら、俺が見た女子たちが誰なのか、もしかしたら分かるかもって言われてさ」
「な、なるほど」
私が疑問に感じたことへの答えが見事に詰まってたな、今の言葉に。
まさか、私の心の声……聞こえてるとかじゃないよね?
胸元に手をあてながら首を傾げると、颯己はフッと微笑ましそうに笑った。