アイツの溺愛には敵わない
「ありがとう、颯己」
顔を綻ばせると、颯己の頬がほんのりと赤く染まった。
「はーちゃんは、どんな笑顔も可愛いけど今みたいな上目遣いの笑顔が特にヤバいよね」
「へ?」
「誘ってるみたい」
すかさず首を傾げると、ギュッと強く抱きしめられた。
「はーちゃんの不意打ち攻撃はダメージが半端ないよね。理性を保つのに必死」
笑顔でお礼を言っただけなんだけど、なんだか言葉が不穏な感じだな。
どういう意味だろう?
「颯己、そろそろ予鈴が鳴るんじゃない?教室に戻った方が……」
「鳴ってから移動し始めても間に合うから大丈夫だよ。それまでは、はーちゃんで充電する」
「じゅ、充電?」
「これで午後も頑張れそう」
心臓がバクバクしていて破裂しそうな勢いだから体を離して欲しいけど…
颯己の声がすごく嬉しそうだから、しばらくこのままでいよう。
大好きな颯己の腕の中に。
幸せな気持ちを噛みしめながら、颯己の背中に手を回した。