アイツの溺愛には敵わない
「急に変なこと聞いてごめんね。私が映結ちゃんと昼食を食べる時は、必ず真浦くんから冷たい視線が飛んできていたから。何か反応があったか気になっちゃって」
「えっ、本当!?」
慌てて振り向いて颯己の席に視線を向ける。
だけど、今日は隣のクラスの友達のところで食べていることを思い出して、すぐに向き直った。
「食事中ずっとではないんだけど、視線を感じるなと思ったら睨まれてたり、不機嫌そうな目で見られたりしてたよ」
「全然気付かなかった……」
そういう負の視線って、私もわりと察知したりするんだけどな。
「視線の矛先が私だけに向けられていたから映結ちゃんは知らなかったんだと思う」
「どうして綾芽ちゃんに……」
「いつもテンション高めに喋ってたから、うるさくて不愉快だったのかなって、ずっと思ってきたんだけど、おそらく違う」
綾芽ちゃんはニッコリ笑うと私の耳元に顔を近付けた。
「きっと、私が映結ちゃんと仲良くご飯を食べてることが気に入らなかったんだよ。いわゆるヤキモチってヤツ」
囁かれた言葉は意外な推論で。
私は目を見開いてしまった。