アイツの溺愛には敵わない

ソファーに押し倒された、あの時。


私を見つめる颯己の目は優しかったけれど、心の奥深くまで射ぬかれそうな強さも感じた。


もしかして……


あれは、狼モードの始まりみたいな状態だったのかな…。


熱い頬が更に熱を帯びる。


ベッドに寝転んだ私は枕を手にとって顔をギュッと押しつけた。


さっき……。


もしも、お母さんから電話が来なかったら、どうなってたんだろう。


私は颯己とどんな時間を過ごすことになってたのかな。


あのキスだけでも意識が完全に飛びそうだったのに、その先って……。


想像はつかないものの、ドクンドクンと鼓動が勢いよく鳴り始める。


私は枕を抱きしめたまま体を丸めた。


今日みたいな甘いキスも時間も。


これからたくさん経験していくんだろうな、きっと。


そう思ったら頬が緩んで、笑みが零れる自分がいた。



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