アイツの溺愛には敵わない

颯己は私の幼なじみ。


同じマンションに住んでいて、部屋も隣同士。


通う学校もずっと同じだし、クラスも一緒だったりする。


正直なところ、高校は別々になると思ってたんだけどな…。


小さくため息を溢しながら颯己の部屋の前にやって来ると、インターホンに手を伸ばした。


ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン


3回鳴らして反応を伺うけど、応答が無いのはいつものこと。


ここで颯己が出てきてくれれば楽なのに…と思いながら、バッグから合鍵を取り出した。


颯己の両親は仕事の関係で今年の春から海外に行っている。


高校に入学すると同時に一人暮らしをすることになった颯己を心配して、颯己の両親が私の家に合鍵を預けていったのだ。


何かあった時にいつでも出入りが出来るようにと。


あれから半年。


まさか、毎朝使うことになるとは思わなかったな…。


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