アイツの溺愛には敵わない
月日は流れて、颯己の誕生日当日。
「颯己、お誕生日おめでとう!」
颯己が晩ご飯を食べにリビングに入って来た瞬間、クラッカーを鳴らす。
お父さんやお母さんも笑顔で“おめでとう”と声を掛けると、颯己は照れくさそうな表情を浮かべながら食卓についた。
「部屋まで良い匂いが漂ってきてたから凄く楽しみに待ってたんだ。どれも美味しそう」
「颯己の手料理には負けるけどね」
「はーちゃんが作ってくれる料理は、俺にとって最高のご馳走だよ!いただきます」
目を輝かせながら、メニューのミートソースパスタ、カルパッチョ、ポークピカタを次々と頬張る姿に私も自然と笑顔になる。
颯己の喜ぶ顔を思い浮かべながら作ったから、満面の笑みを見せてくれると嬉しいな。
4人で楽しく会話をしながら、和やかに時間が過ぎていく。
デザートのバースデーケーキを食べ終えた後、片付けを済ませた私は自分の部屋に戻ってきた。
手作り料理、好評で良かった。
この調子でサプライズも成功させられるように頑張るぞ。
心の中で意気込んだ私は、編み終えたセーターの入っているラッピング袋を抱えて、颯己の部屋に向かった。