アイツの溺愛には敵わない
「颯己、入ってもいい?」
「うん」
緊張しながらドアを開ける。
机に向かっていた颯己はこちらに振り向くと、嬉しそうに笑みを浮かべた。
「どうしたの?」
私が何をしに来たのか、完全に分かって聞いてるな…これは。
準備の段階で察してたみたいだし、やむを得ないか。
でも、中身が何なのかは知らないはずだから反応が楽しみ。
カーペットに素早く正座して待機する颯己に頬を緩ませながら隣に座った。
「これ、颯己への誕生日プレゼント」
抱えていたプレゼントを渡すと、無邪気な笑顔で見つめられる。
「ありがとう!開けていい?」
「もちろん」
ラッピング袋のリボンをほどいてセーターを取り出した颯己は目を大きく見開いた。
「これ、もしかして手編み?」
「うん。セーターは初挑戦だったんだけど、失敗なく編めたから安心してね」
グレーのケーブル編みセーター。
最初は無事に完成するか不安だったけど、上手く出来て本当に良かった。