アイツの溺愛には敵わない
早速、羽織っていたパーカーを脱いでセーターに袖を通す颯己。
両手をひろげて満足げに微笑んだ。
「あったかい。こんな感じのセーター、ずっと欲しいと思ってたんだ」
「そうなの?」
「うん、だから嬉しいよ。はーちゃん、ありがとう。大切に着るね」
そんな風に言ってもらえると、私もテンションが上がってしまう。
頑張って編んで良かった。
「あれ?まだ中に何か入ってる」
喜びを噛みしめていると、ラッピング袋を折り畳もうとした颯己が不思議そうな声をこぼす。
そっちにも気付いた…!
袋の中を覗く横顔を少しソワソワしながら見守った。
「……手紙?」
薄いピンク色で、小さなコスモスのイラストが散りばめられた封筒。
それを眺めていた颯己は何かを思い出したように目を僅かに見開いた。
「これ、もしかして……はーちゃんの誕生日に俺が贈ったレターセット?」
「うん!小5の時にプレゼントしてくれたよね」
「覚えてくれてたんだ」
「当たり前でしょ。颯己が私のために選んでくれたものだもん。今までの贈り物は全部、ちゃんと覚えてるよ」
「俺も。はーちゃんから貰ったプレゼントはみんな宝物だから」
颯己は懐かしそうに目を細めた。