アイツの溺愛には敵わない
「この手紙も一生大事にするよ。本当にありがとう」
私に柔らかい笑みを向けた颯己は、再び手紙に視線を落とす。
よし、今だ……。
私はドキドキしながら颯己との距離を詰めると、彼の頬にキスをした。
「はーちゃん……!?」
「颯己、大好きだよ。私と出会ってくれて本当にありがとう」
顔が燃えそうなほど熱い。
心臓も破裂しそうな勢いでバクバク鳴ってる。
初めて自分から颯己にキスしちゃった。
毎晩、眠る前に妄想リハーサルをしてきたけれど、やっぱり本番の緊張度は桁違いだな。
でも、無事にキス出来て良かった。
サプライズ成功だよね。
驚いて固まっていた颯己だけど、暫く経つと照れくさそうな笑みを浮かべた。
「……初めてだよね。はーちゃんからのキスも“好き”って言葉も」
あれ?
そう言えば、私……。
慌てて記憶を辿る。
颯己と付き合い始めてから今日まで、一度も“好き”を口にしたことが無い事実に気付いて、一気に体温が下がる感覚がした。
「ご、ごめん…。颯己はいつも声に出して伝えてくれているのに私は……」
俯いたその時。
颯己にギュッと抱きしめられた。