アイツの溺愛には敵わない
10*アイツの溺愛には敵わない
「映結ちゃんは、どこに行ってみたい?」
「そうだなぁ、このショッピングモールかな」
「分かる!凄く綺麗だもんね、イルミネーション。ただ、場所が遠いのが難点だよね」
「うん。なかなか行けないもんね」
颯己の誕生日から数日が過ぎた、ある日の放課後。
私と綾芽ちゃんは、雑誌に特集されているクリスマスイルミネーションの話題で盛り上がっていた。
もうすぐクリスマス。
冬休みも近付いてきたし、この季節は何だかワクワクしてしまう。
去年は受験生だったから勉強漬けに終わったクリスマスだった。
でも今年は……楽しく過ごせそう。
心を弾ませていると、綾芽ちゃんがニンマリと口角を吊り上げた。
「今、真浦くんのこと考えてたでしょ?」
「えっ!?」
「気持ちが顔に書いてあるもん。いいなぁ、彼氏と過ごすクリスマス」
そんなにあからさまな表情をしてるのか、私は。
恥ずかしさのあまり、瞬く間に顔が熱くなってしまった。