アイツの溺愛には敵わない
「どこかに出かけるの?それともお家デート?」
「まだ具体的には決まってないんだ…」
クリスマスイブは終業式。
でも午前中で終わりだから、近場ならツリーを見に行くのもいいよね。
ただ、イブの日は颯己の家族と一緒にホームパーティーするのが恒例だったからなぁ。
今年も家でゆったりと楽しむ感じになるかな、きっと。
「映結、お待たせ」
突然降ってきた声に振り向くと、柔らかい笑みを浮かべた颯己が立っていて。
フワフワと優しく頭を撫でられた。
「先生のお手伝い、もう終わったの?」
「簡単な作業だったから、さっさと終わらせて戻ってきた。帰ろ?」
「うん」
今日は日直だから……という理由で、担任の天川先生に作業の手伝いを頼まれていた颯己。
それなりに時間が掛かるだろうと思っていたけど、想像よりもかなり早かったな。
一緒に待ってくれていた綾芽ちゃんにお礼を言って、私と颯己は教室を出た。