アイツの溺愛には敵わない

「碓井さんとクリスマスの話をしてたの?」


「どうしてそれを……」


「声を掛けた時、机の上にひろげていた雑誌が視界に入ったから」


そういうことか。


まあ、あれを見たらクリスマス関連の話をしてたんだろうって、容易に想像がつくもんね。


「クリスマスイルミネーションの人気スポットが掲載されている雑誌なの。どこに行ってみたいか話したりしてたんだ」


「はーちゃんの行きたい場所って、どこ?」


「この前、テレビで放送してた大型ショッピングモール」


「ああ、あそこね。短時間の中継だったけど、イルミネーションが凝ってて綺麗だった気がする」


「でも、遠方だから気軽に行くのは難しいよね」


苦笑いを浮かべると、颯己はスマホで何かを確認してから優しく微笑んだ。


「今年は無理でも来年は行けるかも」


「えっ?」


「イブとクリスマスが土日だから、泊まりで行けば二人でゆっくり楽しめるよ」


「………と、泊まり!?」


突然の提案に、私の顔は一気に熱くなった。


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