アイツの溺愛には敵わない
「ダメージ受けてんの、俺ばっかり」
「軽く叩いただけでしょ?」
「いや、膝のことじゃないから」
じゃあ何なの、一体。
眉間にシワを寄せると、颯己の手が私の頭にのせられた。
「これから反撃していくから覚悟しといてね、はーちゃん」
挑戦的な目。
不敵な笑み。
ポンポンと頭を撫でた後、颯己は部屋を出ていった。
最後の言葉、どういう意味?
反撃とか物騒なんですけど…。
お弁当箱を持ったまま首を傾げた。
っていうか、さっきの会話中に疑問符がどれだけ頭の中に発生したことか。
初めてだよ、こんなの。
何かあったのかな、颯己のヤツ。
「………」
いや、心配してどうするんだ。
何があっても私には関係ない。
アイツとは出来るだけ関わらないようにするって決めたんだから。
とは言え、しばらくは同じ屋根の下。
ほとんど関わらずに暮らすことは難しい。
「はぁ…」
同居期間、早く終わらないかな…。