アイツの溺愛には敵わない
「先生、同居のことは内密にしておいて欲しいんです。バレてしまうと騒ぎになってしまうと思うので…」
「分かった。それが琴宮たちの意向なら、俺は秘密にするから」
「はい、宜しくお願いします」
「しばらく一緒に生活するのも大変だろうが頑張れよ」
「………はい」
先生に一礼して相談室を出た。
「はぁ…」
朝から慌ただしかったせいか、どっと疲れた。
今朝は久しぶりに颯己がすぐに起きなくて、大声を出しながら肩を軽く叩いたり、体を揺さぶったりして、大変だったんだよね。
ようやく目を覚ましたかと思ったら寝ぼけていたらしく、私の腕を掴んでしばらく離そうとしなかったし。
あの一連の攻防で1日の半分以上の体力を消費したよ、まったく。
トボトボ歩いて教室に戻ってきた私。
力なく席に着くと、頬杖をつきながら黒板をボンヤリと眺めた。