アイツの溺愛には敵わない

「ちょっと待って!あの、お母さんたちに外泊の話は何もしてないから……」


「それなら、事前に話をしてあるから大丈夫。外泊許可もらってるから安心して?」


既に準備済みだったのか。


昔から颯己の家にお泊まりすることがあったから、その感覚ですんなりOKしたんだろうな、お母さんたち。


「可愛いはーちゃんを明日まで堪能できるなんて嬉しいな」


遊園地デート後の予定もしっかりと考えてある上に、そのための必要な手配まで抜かりなく済ませているなんて、さすが颯己。


私なんて、ただただ翻弄されているだけな気がする。


本当、敵わないな……颯己には。


だけど、鼓動の波を乱されるのも悪くないなと思えるのは颯己が好きだからこそ。


これからも、想定外のドキドキをたくさん経験していくんだろうな。


そして、もっともっと颯己を好きになっていくんだ……きっと。


薬指に光る指輪を見つめながら、幸せを噛みしめるように笑みを滲ませた。





*おわり*


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