アイツの溺愛には敵わない
もう少しで朝礼の時間だ。
わりと先生への説明に時間かかってたんだなぁ…なんて思っていると、教壇の近くで男子たちとお喋りしていた高塚くんが席に戻って来た。
「琴宮さん、おはよ~」
「おはよう」
朝から日だまりのような笑顔。
元気いっぱいって感じだな、高塚くん。
「あれ?琴宮さん、なんか元気ない?」
「朝からバタバタしちゃって疲れただけ」
「ちょっと寝過ごしたとか?」
「うん、まあ…そんなところかな」
私じゃなくて、颯己がなかなか起きなかったんだけどね。
本当のことを話すわけにもいかないので、曖昧に答えた。
「俺もたまにアラームをセットし忘れて寝坊することあるんだ。そういう時、かなり焦っちゃって……」
突然、高塚くんは話をストップさせる。
そして、不思議そうな顔で私を見つめた。