アイツの溺愛には敵わない
中に入った私は、颯己の部屋の前に直行。
コンコン
コンコン
コンコン
いつものようにドアを強めに3回ノックするけど、返事はない。
これも普段どおり。
「颯己、入るよ」
言葉が返ってこないのは分かっているけど、一応…断ってからドアを開ける。
モノトーンの家具で統一されたシンプルな部屋。
ダークグレーのカーテンを勢いよく開けて太陽の光を室内に取り込んでからベッド脇に近付く。
動じることなく毛布にくるまって眠る颯己を見下ろした。
気持ちよさそうに熟睡してるよ、全く。
枕元に散乱している2個の目覚まし時計を見ながら、やれやれと呆れ気味にため息をついた。
颯己は朝に弱い。
目覚まし時計はセットするみたいだけど、アラーム音に気付かないか、無意識に止めてしまうかのどちらかだから、まるで意味がない。
結局、誰かが起こさないといけないわけで。
その役目を担うのが私だ。