アイツの溺愛には敵わない
……って、なんでアイツの心配してるんだ私は。
ギュッと頬をつねった。
過保護な幼なじみは卒業しようと決めたんだから。
颯己が将来どんな道に進もうと私には関係ない。
「そう言えば今日の真浦くん、かなりご機嫌ナナメって感じだったよね~」
「そ、そうだね…」
「いつも話し掛けてる女の子たちも、纏ってる空気がピリピリしていたから近寄れなかったみたいだし」
あれだけ黒いオーラ放ってたんだから、そりゃそうなるよね。
もしもあの状態の颯己と臆せずに話せる子がいたら、かなりの強者としか言い様がない。
「映結ちゃん、居心地悪かったんじゃない?」
「気にしないようにしてたから、そうでもなかったよ」
「真浦くん、不快になるようなことがあったのかもしれないね」
「うん…」
昔から穏やかで優しいヤツだけど、たまに不機嫌な時もあったからな…。
いつも理由は分からなかったけど。
聞いても教えてくれなかったし。